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ゆっくり、ゆっくりルースは歩いている。
もうすぐ町の中へ入るだろう。
町はロボットが暴れ続け、もうもうと砂煙がたっている。
ルースはちょっと眉をしかめた。
「まあまあ、これではお掃除が大変……」
つぶやく。
わあわあ……と、町の住民が悲鳴を上げ、ロボットから逃げ惑っている声が風に乗って聞こえてくる。
と、空から聞こえてくる異様な音に彼女は顔を上げた。
きいーん……
耳をつんざくような金属音。ついで、空気をどよもす衝撃音。
山の向こうから、一機の戦闘機が姿をあらわした。戦闘機は低空で町に近づくと、そのまま反転して今来た方向へかえっていく。
ぼうぜんとしているルースの前に、こんどは数機のヘリコプターが近づいてきた。
ヘリコプターはローターを回転させ、鼻先をそろえ飛行していた。
そのあとから数台の兵員輸送車、装甲車、戦車がつづいてくる。
ルースは立ちすくんだ。
ヘリコプターが町の近くの草原にそろって着陸していく。そのそばに、さきほどの車両がぞろぞろと集結していった。
「ステットンのひとですかな?」
だしぬけに声をかけられ、ルースはふりかえった。
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