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見ると一台のジープが停車し、助手席にすわる大柄な中年の男がじっとルースをうかがうように見つめてくる。男は、ぴしっと折り目のついた軍の制服に身を包んでいた。肩には大佐の肩章がついている。
男はにやっと笑いかけた。
「これは失礼した。わたしは防衛軍郡司令官ワイト大佐ともうすものです。ステットンの町でロボットが暴れているという報告があり、出動要請があったのでやってきたのです」
ルースはふかぶかと頭を下げた。
「それはご苦労様です」
彼女の丁寧な挨拶に、ワイト大佐はちょっと拍子抜けしたようだった。
「あの……町でロボットが暴れている、というのは本当のことですかな?」
ルースはうなずいた。
「ええ、大変なことになりましたのよ。それでみなさんに迷惑をおかけすることになりまして……」
彼女の言葉をワイト司令官は聞きとがめた。
「どういうことですかな?」
「あのロボット、息子のパックが作ったものでして……」
「あなたの息子さん?」
「ええ、あの子ったら、むかしから機械いじりが好きで、ほっといたら何時間でも機械の前にすわりこんでいますのよ。それでとうとうロボットなんかこしらえて……」
そう言うと、ルースはふっとステットンの町を見やった。つられて司令官も町を見た。
町全体にうっすらと砂埃がまいあがっている。
そのとき、ジープの無線から報告があった。戦闘機のパイロットからだった。
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