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風車が、風を受けてゆっくりと回っている。
「エリオット様、待ってくださいようっ」
「さすがエリオット様、一番足が早いなんて素敵」
「エリオット様、ノロマのヴィヴィアンが」
ここは隣国に面する片田舎の領地、その領主館に子供たちの駆ける元気な声が響く。
「早く来いよ、これでも遅く走ってるんだぞ。“ヴィー”! ちゃんとついてこいよっ」
ヴィヴィアンは短い手足を懸命に動かして、少し年長の彼らの後を追う。
「ひっ、はうっ、まってえ。“リオ”さままってえ……ふぎゃっ」
一緒に遊んでいた子供たちに追い付けず、ついに転んでしまった。
「大丈夫か?」
そう言って手を差しのべたのは、蜂蜜色の金の髪に、緑柱石色の瞳の少年と青年の間くらいの男の子。
五歳のヴィヴィアンより十歳ほど年上のその彼は、王都から来た偉い貴族さまの子息だと言う。両親からも、領主子息の少年エリオットからもそう教えられていた。
「立てるか?」
ヴィヴィアンに手を差し出してくれたのは、彼だけだった。
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