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1.1
暗闇はひどく人を不安にさせる。
未だかつてない、これほどまでに明るい夜を手に入れた私達でも、その恐怖は変わらない。
この世界から、浮き上がってしまっているような居場所のなさ。
そんな夜に、しっとりと落ちてくる雪は、これが夢の続きであるような錯覚を与えてくれる。
でもこれは現実だ。
絶対的な証拠はどこにもないが、この肌を刺す風が、
口から吐き出る白い息が、確信させてくれる。
たった数メートル地面から離れただけで、
駅の連絡橋の上は凍え死んでしまいそうなくらい寒いし、心細い。
うつ伏せになって、もう一時間ほどは経っている。
待ち続けるだけというのは、かえって神経をすり減らしていくのだ。
傍らに横たわる、黒く重たい塊。
やけに長い。
狙撃銃というものか。
あまり詳しくないからよくわからないけれど、信用できる強さを感じる。
私はこれで、いずれやってくるであろう獲物を、仕留めなくてはならないのだ。
もちろん、銃を撃ったことも、握ったことも、
そもそも今まで本物を見たことすらなかった。
それでもやらなければならないという緊張は、凄まじかった。
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