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「それは……」
「……勿論、帰ってきたばっかりだし、言いにくいとか、そういうのもあるかもしれないけど、でも、僕はまだ……気持ちの整理がつかないんだ」
「うん……」
「あの頃の僕たちはまだ幼かったから、色々、影響を受けやすかったし……それで、周りから浮かないように、エリはこの町を出て行ったはずだよね。…それが、どうしてまた?」
「それは――ち」
「……ち?」
気持ちの悪いところで言葉を切ると、エリは歩みを止め、目を見張る。明らかにどこか様子がおかしかった。
「どうかした?」
「……ねぇ、フクちゃん、あれ……なんだろ」
「あれ?」
その正体を確かめるべく彼女の視線の先を見ると、僕の瞳には、地面いっぱいに落ちたおびただしい量の鳥の黒い羽根と、そしてそれに散りばめられた赤色の液体の姿が映った。
「――――」
その異様な光景に、僕は思わず息をのむ。……僕はこの町で生まれ、17年ほど生活しているが、こんな光景は見たことがなかった。
「この羽根と血……林の中に続いてないか?」
「えっ……」
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