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 はじめは不規則に散っているように見えた血の跡だが、よく見るとその赤色は僕たちの歩いていた道から横に逸れ、林の方へ向かって徐々に大きくなっているように見える。  ……一体その先に何があるのか。  興味がないと言えば嘘になる。…けれど、僕の体はそういう人並みの感覚とは別のトコロでその場所へ進もうとしていて、――そう。例えるなら、何かに導かれるようにその先へ行こうとしていた。 「行ってみよう」 「……本当に?」 「……嫌なら、僕一人でも」 「…フクちゃん一人だと頼りないから付いて行ってあげる」 「――ここに戻ったら、ちゃんと理由聞かせてくれよ」  心配そうなエリ――満帆臣愛莉華の返事を聞くより早く、僕は彼女の手を握る。…久々に触れた幼馴染の手は、昔に比べてずいぶん小さくなってしまったように感じて、――そして何より、温かかった。 「フクちゃん……」 「行こう」  色々な想いが溢れそうになるのを抑え、僕は林のなかへ進んでいく。  ……ほんとうに、何て奇妙なんだろうか。鳥の羽根と、大量の血……そんなホラー映画の導入部のような出来事が、期せずして僕らの距離を縮めているなんて。  …いや、それも違うか。距離が縮まるなんて、あの頃に少しでも戻れただなんて、そんなのは、勘違いだ。でも…… 「おかえり、エリ」 「……何で今?」 「何でだろうね」     
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