同級生

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 街に出ていたナツミは十年の歳月を挟んで、ジュリアンを目の当たりにしている。この十年間で悪かった経済状況は、歴代政権の把握の不味さでますます悪くなった。それに連動して社会の雰囲気も悪しき深みへとどんどんと嵌って行った。弱り目に祟り目ではないが、時代の機運がそう言う運の悪さを根本的に孕んでもいたのだ。 《ジュリアンだよ! なんて言うことだろう。でも、だよ、連れている女の子がいないみたい》  ナツミは「ジュリアン、じゃない?」と言って駆けて行こうとしたがその時、どんよりとした重たい感じの、一見真面目で端正な顔立ちの青年達の厚い壁のような、そんな暗さを感じさせられた。 《えっ、嫌になっちゃう》  ナツミは社会の危険性を嗅ぎ取った。 《あんな見掛け倒しの男達に夢中になっている。ジュリアン。わたしを見て。あなたは現実を知らないんじゃない? わたしが見ているのはあの時のままのジュリアン。あの時の瞳と同じように、今も輝いている。あの日のジュリアンにわたし、会えたんだ。孤立しているんだよね。弱くさせられているんだよね。でも危な過ぎるんだよ、そう言うのって。わたしがいる。わたしがどうにかするわ》  ナツミは夢中になってそう思った。     
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