物体縮小ボール

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物体縮小ボール

「さて、実験を始めるとするか」  俺の名前は厨川桂(くりやがわかつら)。現在、十八歳。職業は科学者。視力が悪く眼鏡を着用している。よく目つき悪いと他の人から言われる。 「そうだね、お兄さん」  こいつは妹の厨川真弓(くりやがわまゆみ)。双子の妹で同じく職業は科学者。金髪で美形ともてはやされている。地味と言われることが多い俺とは段違いである。  俺と真弓はここ最近、とある実験および開発に精を出していた。  パソコンを起動し、USBケーブルを金属のボール型の機械に接続した。 「昨日は、上手くいかなかったんだよな。ここのループ関数のせいで処理が遅れたのかな」  俺はソースコードを真弓に見せた。  すると、妹は顔をしかめた。 「お兄さん......インデントくらい揃えてよ。関数名もなんか意味不明な名前使ってるし。IT企業でプロジェクトで働こうものなら上司に怒られるレベルだよ」 「ふん、俺自身が理解できればいいのだ」 「私が理解できないわけなんだけど?」 「......」  確かにそうだ。どう処理したらいいか分からなくて藁にもすがる気持ちで真弓に訊いたのである。 「な、なんとかならないかな?」 「ちょっと見せて」     
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