涙煙

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彼と一緒になれる可能性は無いと分かっていても。 今の自分の心の隙間を埋めてくれるのは彼しかいないのだ。 会社で肩肘張って戦う私を武装解除させてくれ、私のことを一人の社会人、そして一人のオンナとして扱ってくれるのは、彼だけだ。 妹が、タバコをくゆらせながら尋ねた。 「お姉ちゃんも、彼を奥さんから奪い取るつもりはないんでしょ?」 「そんなこと、考えたこと…ないよ。 彼もそんなつもりも無いだろうし…」 「じゃ、付き合ってる意味ないじゃん。 もういい加減に別れなよ」 「そんなことあなたに言われなくても分かってるわよ!分かってるけど、できないから困ってるんじゃないの! 今の…今の私を認めてくれるのは、彼しかいないの。 …私だって辛いのよ」 「お姉ちゃん? お姉ちゃん自身が変わらないと、何も変わらないよ? お姉ちゃんが今いろんなことに自信を無くしてて、いろいろ上手くいってないのは知ってる。でもそれを何時までも周りの人のせいにしてたら、なんにも変えられないんだよ!」 「うるさい!知ったようなこと言わないで!」 「お姉ちゃん、わたしがまだ子供の時に教えてくれたじゃん。 やったこともないのに、できないって言っちゃダメだって。 やった人にだけ見える景色があるって。     
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