涙煙

4/5
145人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
お姉ちゃん、自分自身で今の環境を変えようと頑張ってみたことある? 学生の時は昔はあんなに自信満々で生きてきたのに、就職して同性や年上の男の部下に妬まれたり、同期の男の子に出世レースで差をつけられりしたからっていじけちゃって。 そして挙句に、周りへの当てつけのように妻子持ちのオトコと付き合うなんて… お姉ちゃん、バカだよ!」 「うるさい! …もういいから帰ってよ…」 いま、一番言われたくないことを、妹に言われ、私はそれ以上何も言い返せなかった。 分かってる。 妹の言ってることが正しいことも、わたしが間違ってることも、分かってる。 『自分で今の環境を変えようと頑張ってみたことある?』…か。 妹の言葉を、反芻してみる。 さすが私の妹だ。私のこと、よくわかってる… 妹が出て行き、再び一人となったリビングでメンソールを燻らせながら、私のほほを涙が伝った。 普段は、何があっても自分は絶対泣かないと決めていたが、この日はその禁を破り、感情に任せて思いっきり泣いてみることにした。 でも泣いてみたはいいが、悔しいことや悲しいことがあり過ぎて、途中からは、いったい何に対して涙を流しているのか分からなくなってきた。     
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!