探煙

3/4
前へ
/47ページ
次へ
でも申し訳ないついでに、こっちも探りを入れてみる。 「同期の子から、他に何か聞いてない? なんで不倫してるって“勘違い”したか、とか」 「あ、それはですねぇ… 山田マネージャー、ご自宅の最寄り駅は新丸岡ですよね? なんか夜の結構遅い時間に、何度か駅に田原マネージャーがいたとかなんとか…。 そこから山田マネージャーのお部屋に行ってたんじゃないかって話になって。 で、その見かけた日っていうのが、必ず山田マネージャーが早く帰った日だって… そんなん偶然に決まってるのに、皆さん妄想が逞しすぎますよね」 そう言ってユミコは笑った。 怖い怖い怖い。 なんでそんなとこ気づく人がいるんだろう… でも良かった。 二人で外を歩くことは絶対しなかったし、ウチのマンションに来る時もいつも別々に行動してた。 田原くんも、マンションに来る時は、尾行を巻くように、念のため駅からの マンションまでのルートをちょくちょく変えるって言ってたし。 もし駅で待ち合わせて二人でマンションに移動してたら、危なかったかもしれない。 その後のユミコの話だと、冗談半分だと言え、『最寄り駅に張り込みしようか…』などという話も出ていたらしい。 本当にタッチの差だっのかもしれない。 ちゃんとケリをつけておいて良かった。     
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加