悔煙

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悔煙

ユミコから、私と田原くんとの関係が「一部女性社員の方の間でウワサになっている」と聞かされてから数週間経過したが、その後なんのリアクションもない。 『知らない』とシラを切ったのが功を奏したのか、はたまたユミコが上手いこと説明してくれたのか。 何もないのならそれで良い。 もうそんな噂があったことも忘れかけていたある日。 私のチームの5人で、先日のA社の案件の慰労会を開くことになった。 若手がセッティングしてくれたバルにメンバー全員が集まってくれた。 A社の件を受けるまでどことなくギクシャクしていたチームも、今回の件でようやくまとまったように感じる。 そして私も、ようやくリーダーとして、メンバーにも認められたようだ。 それまでよそよそしかった、私より年長のマネージャー補佐の男性も、私のことを信頼してくれるようになった。 私は、目の前で楽しそうに飲んでいるメンバーを眺めながら感慨に浸り、ニコニコして話を聞いていた。 あのことに気づくまでは…     
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