紫煙の向こう

藍煙

私の部屋で妹と口論してから半月ほど経った水曜日、私が昼休憩に会社近くのカフェで一人ランチを食べていると、彼からメールが来た。

「今夜、マンションに行くよ」と。

彼がマンションに来るのはいつも大抵金曜日で、その連絡も当日来る直前に連絡してくるのが常だったので、水曜日にメールが来るのは珍しい。

彼から連絡があった日は、私は早めに仕事を終えて一足先にマンションに帰り、食事を用意して彼を待つのだが、今日は想定外だったので、部屋の掃除も夕食の準備もしていない。

（いつも自分勝手なんだから…）

妹の忠告のこともチラッと頭をよぎったが、まだ自分自身でもココロの整理がついていないことを言い訳にして、結局この日も彼の訪問を受け入れることにした。

私は午後の仕事を早目に片付けて、18時過ぎには退社。買い物を済ませて19時にはマンションに戻り、食事を用意して彼を待った。
彼がマンションにやってきたのは21時になろうとした頃だった。

それからいつものように二人で食事をとり、リビングで酒を飲み、シャワー浴び、ベッドに入る。曜日は違えどいつもと寸分違わぬルーティンだ。