明煙

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部長の言葉にイラッしながらも、これからは、こんなことにいちいちイラッとしていたら身がもたないことに気づく。 このような嫌がらせがあったことを愚痴る相手はもういないのだ。 気を取り直して自席に戻り、A社についてパソコンのデータベースにアクセスする。 過去の担当者の商談履歴や添付資料を見れば見るほど、A社は大きな会社で、且つ、こことの取引開始のために営業担当者がどれだけ過去苦労しているのかが伺える。 (私が絶対仕事を取ってやる。そしてバカにするあいつらを絶対見返してやる!) 久々の大きな仕事を目の前にして気分が高まり、さっそく営業担当の山岡くんに連絡を取った。 翌日、山岡くんと二人でA社を訪ねた。 6階の企画部の商談ブースに通され、先方の担当者を待つ。 待つ間に山岡くんの話を聞きながら、山岡くんに私の名前を伝えたA社担当者の心当たりを探ってみたが、まったく思い当たらない。 山岡くんによれば、今回のオファーをしてきた担当者は30歳前後の男性で、飛び込み営業で度々顔を出している山岡くんに対して向こうの方から声をかけてきたらしい。 心当たりがない。やっぱり、過去のクライアントの誰かが紹介してくれたのかな…     

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