「ねぇ君、星に興味ない?」

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「ねぇ君、星に興味ない?」

人ごみは苦手だ。 サークル棟は宣伝する上級生や入学したばかりの一年生で溢れかえっていて騒がしい。 その中を一人で歩いていると、私を知っている人がこの中に誰もいないのを思い知らされる。 すると、今度は世界中の誰もが私を知らない気がしてくる。 もちろんそれは錯覚だと分かってはいても、楽しげに会話をしながら歩く集団を見ると何だか眩しくて目を背けてしまうのだ。 顔に前髪がかかってただでさえ見づらいのに、俯きながら歩くのがいつの間にか癖になってしまっている。 こんな自分でも耳元で流れる音楽を聴くと、受け止めてもらえている気がしてくる。 だから一人でいる時は音楽プレーヤーが離せない。 今聴いている、とある男性ミュージシャンの声は音量を絞っていても耳に届いた。 入学して一週間が経つが、一人でいると言葉を外に出す必要がない。 そんな日々を重ねるうちにふと、自分の声がどんなものか思い出せないことに気付いた。 まだ住み慣れない部屋で恐る恐る出した声は少し掠れていて、まるで溜まった埃が喉にまとわりついているように出づらかった。     
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