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偉そうな態度と口調なのに、整った顔立ちだからかむしろ顔を赤くして群がる女性達。うわ……ああいう人、無理。早く部屋に入って準備しなきゃ。急ぎ足で通り過ぎようとする私に、突然声がかかる。
「あれ? 新人ちゃんかな? ちょっと待ちなよ」
「え? な、何ですか?」
「君……! ほ……惚れた! よし、今日から俺の特別な彼女に決定!」
「は? 意味がよく分からないんですけど……」
っていうか、いきなりそんなこと言われても正直言って、迷惑。せっかくいい気分でシェアハウスに来たのに意味不明な言葉を発する男を睨むわたし。
無視を決め込んで、廊下を進むと身勝手な声が放たれた。
「おいおい、俺の部屋はそっちじゃないぜ」
「私はあなたの相手をする暇なんてない」
あなたの周りにいる彼女たちと話をしていれば?
「そう怒るなって! これからお前にとって幸せな日々の始まりなんだぜ?」
この男のセリフと声を聞くだけで、腹が立ってきた。
「うざ。ってか、キモイんですけど? 悪いけど、話しかけないで」
女の誰もが顔だけの男に付いて行くと思ったら大間違い! 我慢できずに本音と怒りをぶつけてしまった。沈黙する空間。
「はははっ! 益々気に入ったぜ。ぜってぇ、彼女にしてやる!!」
首を何度も横に振りながら、逃げるように廊下を急ぎ歩く。様子を見ていた入居者の人が近寄って声をかけてきた。
「あ、君、ちょっと待って」
「え?」
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