18人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日から一緒に暮らす方ですよね?」
「男を代表してごめんなさい。悪い奴じゃないけど、気をつけて」
優しそうな年下の男の子という感じがして、さっきまでの怒りを忘れて顔がほころんだ。
「あ……ううん、謝らないでくださいね。これから、よろしくお願いします」
言葉を交わし終えて、自分の部屋のある6階へエレベーターで向かった。扉を出てすぐ近くの部屋で手招きしている人がいる。
「こっち、入って!」
力強い口調で、部屋の中へ招いてくれている女性のその声に甘えて部屋に入った。
「大変だったようだね。でもここは男が入って来られないから平気」
「あ、はい」
ホッと胸をなで下ろして、気付くと部屋の中には数人の女性がくつろいでいた。
「わたし、西尾雪乃(にしおゆきの)よろしく! あいつ、わたしの弟なんだ。愚弟でホント、ごめん!」
申し訳なさそうに、両手を合わせて頭を下げる女性。
「頭を上げて下さい。わたし、天音(あまね)と言います。その弟っていうのは……?」
「ほら、あまねっちに失礼なことを言いやがった、あいつ。才能はあるけど自立出来なくて、家追い出されたクチでさ」
最初のコメントを投稿しよう!