1.最悪すぎる出会い

3/7
前へ
/16ページ
次へ
「今日から一緒に暮らす方ですよね?」 「男を代表してごめんなさい。悪い奴じゃないけど、気をつけて」  優しそうな年下の男の子という感じがして、さっきまでの怒りを忘れて顔がほころんだ。 「あ……ううん、謝らないでくださいね。これから、よろしくお願いします」  言葉を交わし終えて、自分の部屋のある6階へエレベーターで向かった。扉を出てすぐ近くの部屋で手招きしている人がいる。 「こっち、入って!」  力強い口調で、部屋の中へ招いてくれている女性のその声に甘えて部屋に入った。 「大変だったようだね。でもここは男が入って来られないから平気」 「あ、はい」  ホッと胸をなで下ろして、気付くと部屋の中には数人の女性がくつろいでいた。 「わたし、西尾雪乃(にしおゆきの)よろしく! あいつ、わたしの弟なんだ。愚弟でホント、ごめん!」  申し訳なさそうに、両手を合わせて頭を下げる女性。 「頭を上げて下さい。わたし、天音(あまね)と言います。その弟っていうのは……?」 「ほら、あまねっちに失礼なことを言いやがった、あいつ。才能はあるけど自立出来なくて、家追い出されたクチでさ」     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加