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「あまねっち? それはそうと……自立出来てない、ですか。心が痛いお話です。もしかして、ここってそういう人の集まり……?」
「ん? そんなわけないでしょ。施設じゃないんだから。ま、色んな男女が住んでるからさ、気にしなくていいと思うよ」
あ、そんな感じなんだ? ここに来て最初に出会った人は最悪だったけど、優しい人もいる。
細かいことを気にしていたら、“シェア”なんて叶わない。
ようやく自分が入る部屋に着いて、ひと息つけた。部屋の中を見回すと、着る物以外のテレビやクローゼット、ベッド、PCがある。住むだけなら困らない物が完備されている。
下手をすると、引きこもってしまいそうなくらい便利なもので溢れていた。さっきのお姉さん、いい人だったなー。そんな思いで、手荷物を取り出しているとドアからコンコンと音がした。
「……はい?」
「こんにちは、開けてもらっていい?」
優しそうな女性の声にホッとしてドアを開けた。
「こんにちは、新入りさん」
満面の笑顔で挨拶をしてきた女性は、私の顔をじっと見つめている。
「あ……初めまして。今日入居しました、天音です」
「……ふーん」
私の顔を見ながら次第に、不敵な笑みに変わりだした。
「へえ……あんたいくつ? 何でここに住むの?」
「に、26ですけど。……いえ、特には」
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