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「いや、特別なのは君だけだ。そりゃあ、誤解だぜ?」
「他の方から聞いてますから! っていうか、彼女になった覚えなんてないです」
「誰だろうな……ま、いいけど。少なくとも、俺は君に運命を感じたぜ? 君、料理好きだろ? 今だって覗くぐらい」
「食べるのは好きですけど。それと運命に何の関係があるんですか?」
料理している姿に一瞬、意外な一面を見れた気がした。だからといって、この人に心が動くことは無い。
「あなたには彼女、いますよね? キツく言われました……」
「あ、待ってな。火を止めるから」
朝食に出そうなメニューを作っていたのか、お皿に盛り付けられた一品ものが並んでいる。
「特別なのは君だけだぜ。他は、まぁ……友達みたいなもんだ」
「とにかく、私、面倒なのはごめんです!」
目の前に広がる美味しそうな料理に目を奪われながらも、ここを離れようとするわたし。
「待った! せっかく来てくれたのに、そのまま立ち去るなんて勿体無いぜ?」
「け、結構です! じゃあこれで……」
廊下へ出て、私の腕を引っ張ったと思ったら口に甘酸っぱい感触を押し付けられた。
「むぐっ……んん? お、美味しい」
「どうだ? 俺特製の“オレンジマーマレード“は」
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