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「だろうな。熱は?」 「熱?」 少年の高い声に、ラングが眉を開いた。 「気付いてなかったのか?」 少年がラングの顔と水差しとを見比べながら、目を瞬かせて首を傾げた。その様子にラングは肩を竦める。 「熱に浮かされて奇跡の早業か?どれ……」 言いながら赤い頭が顔の横に下りてきて、少年はちょっと身を引いた。ラングは構わず少年の額に手を押し当てる。 「昨日よりはマシになったな」 ついでに少年の金褐色の髪を撫でて立ち上がった。少年は首を引っ込めて渋面を作ったが、ラングはやはりまったく気にしていない。水差しの水をグラスに注いで少年に手渡しながら、ラングは話をつづけた。仕方なく、少年は銃を置いてグラスを受け取った。少なくともこのトマト頭に危険はなさそうだ。 「すごかったぜ、昨日のお前。実際ケガも熱もないみたいだった。忘れるほど集中してたわけだ。なんだってあんな男に絡まれたのか知らないが、本当、驚いたよ」 少年は受け取ったグラスを両手で持ったまま、黙っている。ラングが首を傾けて、また口を開いた。     
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