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「あぁ……。どっちでお前がキレたんだがわからなかったんだな……」
うーん、と、少年は唸ったが、恐らくそういうことなのだろう。たぶん、ほとんどロブの話をしない内に少年が割って入ったので、てっきり前段階のアレックとやらのことで文句を言っているのだと思い込んだんだな、と、ラングは推測した。
「さすがにちょっと馬鹿やったなって思ってる。余計なケンカのせいで体中が痛い」
ラングが首を傾げる。
「どう見たってお前の大勝利だったじゃないか」
「その前に、オッサンの仲間に袋叩きにあってるんだ」
少年は、憮然として言った。
「はぁ?まさか、ケガの何割かはそのせいか?何人相手に?」
「四人。さすがに近くの人が止めに入ってくれたけど、おれもオッサンも引っ込みつかなくて"それじゃあ明日、決闘だ"ってことに……」
「それで昨日?」
コクリ。少年ははっきりと頷いた。ラングが呆れ顔をしている。少年が今度はコテリと首を傾げた。
「んー……おれも、一晩明けたら、なんかちょっと馬鹿みたいだなって思った。なんか頭は痛いし、動くのつらいし、夏なのに寒気もあったし」
「半分は熱のせいだな」
「あぁ。知らなかったよ」
少年が首を戻した。
「まぁそれで、殺す気が失せて手だけ撃った」
「実行できるのはすごい」
「やった」
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