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本当に驚いている顔だった。ああ、この澄んだ瞳の少年は、どれだけひとりで気を張って、ここまでやって来たのかと、ラングの心がチクリ痛んだ。
少年の、痛々しく包帯を巻いた体は一見すると華奢なようだが、こうして服を脱いでいると背丈の割に筋肉質なのがよくわかる。あの銃の扱いにしても、天性のものではあろうが、その才能も相当な訓練を積まなければ発揮されないものだ。この子どもがどうしてそこまで戦う術を鍛える必要があったのだろう。
「ロブや他の連中とは、その、仲はよかったのか?」
あまりにも雑な質問だったが、少年が怒った様子はない。少年は、答える代わりに手の中の銃に視線を落とした。ラングもつい釣り込まれるように少年の銃を見る。
「見たことない銃だ」
「そう?」
少年がちょっと首を傾けながら笑って、ラングにグリップを向けて差し出した。ラングが驚いて少年の顔を見返す。
「いいのか?」
再確認してからラングは少年の銃を受け取った。独特の曲線を描いたグリップに、先端にあまり見慣れない突起がある。六連発の回転式拳銃だが、ラングが今まで見てきたものよりも銃身は小ぶりで、少年の手にはよく馴染んでいた。
「ちょっと癖はあるけど、いい銃だよ。ロブがくれた」
「そうか。銃の扱いはロブが?」
銃を返しながらラングが問うと、少年がやはり淋し気に微笑みながら肯いた。
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