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慌ててラングが駆け寄る。いつの間に出てきたのか店の前にマーロの姿もあった。
「マーロ!水!水!」
相棒に叫びながら少年を抱え起こす。完全に気を失っていて、呼びかけても頬を叩いても反応がない。ラングから預かった買い物袋を律儀に抱えたロズが、遅れてやってきて少年の額に手を当てた。
「すごい熱じゃない!」
そこへ、慌てふためいて段差に躓きながら、マーロが水に濡らしたタオルを持って来た。少年の首元にタオルを当てながら眉を顰める。
「ケガをしてる」
汚れたシャツに血が滲んでいた。見ればボロボロに破け、ところどころに焦げたような跡もある。
「とにかく中に運ぼう」
マーロが頭を、ラングが足を抱えて持ち上げる。二人の後からロズがついていくのと、道向かいに運ばれていった男の喚き声が聞こえてくる家とを、人々は交互に見てまた囁きあった。小さな町の噂は、しばらくこの事件で持ち切りだろう。記者がいなかったのが幸いだったとラングは思った。
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