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神山銀行光瀬町支店もまた、地域の信用と信頼があればこそ成り立っている。
その信用と信頼を築き上げ、かつ保っていき、その上で――
地域を、光瀬町を、より大きく発展するために努力するのが、支店の渉外係である吟子の仕事だといえた。
その吟子。
日々、原付に乗って、光瀬町を走り回っている。
風を切りつつ、田んぼ沿いの県道をひたすらに走るのだ。
「……はあ」
がっちょん、がっちょん、がっちょん。
吟子は、原付のギアをチェンジさせつつため息をついた。
原付は、スーパーカブである。
「あたしは峰不二子みたいな女になりたかったんだ……。すらっとしたモデルになって、都会の高速道路を、ハーレーダビッドソンで駆け抜けたかったんだ……それなのに……!」
現実はチビ女で、職業は銀行員で、乗っているのはスーパーカブだ。
思い描いていた二十四歳とは、ほど遠い現実。十五年前――モデルになろうと志したころは、もっと背も伸びると思っていたし、脚だって長くなると思っていた。
当時はむしろ、クラスでも背が高いほうだった。吟子ちゃん、背が高くていいねー、なんて、友達の女子に言われたものだ。
(それがみるみる、他の子に追い抜かれたもんなー……)
半年ほど前のことだ。
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