300人が本棚に入れています
本棚に追加
/277ページ
小学校時代の同級生と、偶然、郊外のショッピングモールで出くわしたことがある(田舎なので遊びに行く場所が限られているため、休日は自然、知り合いとよく出くわす)。
それにしてもまあ、改めて見るに、その子の美人だったこと。
学生時代はけっこうちんちくりんだったのに。
それが、いまでは――
顔ちっちゃ!
おっぱいでかっ!
ウエストほそっ!
あしながっ!
吟子は思った。――なんなのこの子!
同じ人間なの!? 同じメスなの!? 同じ宇宙船地球号の乗組員なの!?
そんな同級生は、いまでは隣町の居酒屋の看板娘をやっている。
あれだけの美人がいれば客も増えそうだ。
「ちくしょう。……とにかくこのちっちゃなボディだ。このボディがもうちょっとだけ発育してりゃ、いまごろあたしはハーレーに乗れていたはずなんだ……」
ぶつくさ言いながら、ヘルメットの位置を微調整する。
ヘルメットの中にはミニタオルを入れてある。汗で化粧が崩れないようにだ。女性が原付で外回りをするのは大変なのだ。
……ああ、なにもかもこの肉体がもっと大人っぽければ!
「いっそロリコン向け目指すか。メイドカフェで『おかえりなさいませ、ご主人様(はぁと)』――なんちゃってね」
馬鹿なことをほざきつつ、カブをふかす。
目的地は、光瀬町の商店街だ。
「それいけ、スーパーカブ!」
アクセルを、ふかした。
最初のコメントを投稿しよう!