1-① 理想はハーレー、現実はカブ

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 小学校時代の同級生と、偶然、郊外のショッピングモールで出くわしたことがある(田舎なので遊びに行く場所が限られているため、休日は自然、知り合いとよく出くわす)。  それにしてもまあ、改めて見るに、その子の美人だったこと。  学生時代はけっこうちんちくりんだったのに。  それが、いまでは――  顔ちっちゃ!  おっぱいでかっ!  ウエストほそっ!  あしながっ!  吟子は思った。――なんなのこの子!  同じ人間なの!? 同じメスなの!? 同じ宇宙船地球号の乗組員なの!?  そんな同級生は、いまでは隣町の居酒屋の看板娘をやっている。  あれだけの美人がいれば客も増えそうだ。 「ちくしょう。……とにかくこのちっちゃなボディだ。このボディがもうちょっとだけ発育してりゃ、いまごろあたしはハーレーに乗れていたはずなんだ……」  ぶつくさ言いながら、ヘルメットの位置を微調整する。  ヘルメットの中にはミニタオルを入れてある。汗で化粧が崩れないようにだ。女性が原付で外回りをするのは大変なのだ。  ……ああ、なにもかもこの肉体がもっと大人っぽければ! 「いっそロリコン向け目指すか。メイドカフェで『おかえりなさいませ、ご主人様(はぁと)』――なんちゃってね」  馬鹿なことをほざきつつ、カブをふかす。  目的地は、光瀬町の商店街だ。 「それいけ、スーパーカブ!」  アクセルを、ふかした。     
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