4-② 振り込め詐欺犯を捕まえろ!

7/9
303人が本棚に入れています
本棚に追加
/277ページ
「さあ……よう分からんですね。この携帯にかかってきたのは間違いないですが……」  そう言って、大瀬良さんは携帯電話を板橋に見せる。  板橋は携帯電話をささっと操作した。が、すぐに顔を歪ませる。 「着信は公衆電話からか。……電話会社に、どこの公衆か調べるようにお願いして」    板橋香奈枝は、制服警官にそう指示した。  警官は「分かりました」と言って、なにやらパトカーに向かっていく。 (電話会社も、警察からの照会依頼なら受けるだろうな)  その光景を眺めながら吟子は思った。  銀行にも、たまに警察から照会依頼がくるのだ。  普通預金口座の●●は、刑法何条に違反している可能性があるため、法律に基づいて個人情報の照会を依頼する、といった文面の手紙が。  それを受けた銀行は、個人情報について記入して、警察に向かって郵便を返送するのだ。 (だけど公衆電話からかかってきたなら、電話の特定はできても、犯人の特定は難しいかも……)  吟子はそう思った。  板橋香奈枝も、そう考えたようだ。 「大瀬良さん。犯人はきっとまた、大瀬良さんの携帯に、電話をかけてくると思うんです」 「どうして?」 「犯人はまだ、詐欺がバレたと気付いていませんから。大瀬良さんに五十万円を振り込ませるために、必ずかけてきますよ」     
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!