4-③ その姿に覚えあり!

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 客を装った私服の警察官を、支店の中に数人、配置したのである。  大瀬良さんは支店の待合ロビー、その長椅子に腰かけて待機。  その横に板橋が座った。彼女も無論スーツ姿で、パッと見は警察だと分からない。  さらに、それだけではない。  警察は犯人を逃がさないために、支店の周囲にある木陰にも、私服警官をひそませたのだ。  詐欺師に疑われないために、支店の行員は全員、通常通りの仕事をしている。吟子もだ。 (ん?)  そのときだ。  吟子はふと、怪訝顔を作った。  四十前後の女性が、支店に入ってきたのだが。  一見して、あまり人相が良くない。背の高い、痩せぎすの女。  初夏だというのに帽子を深々とかぶり、長袖のGジャンを着て、ポケットの中に両手を突っ込んでいる。  その女は、きょろきょろと落ち着きなくあたりを見回す。  かと思うと、支店の椅子に腰かけている大瀬良さんに近付いていって、 「大瀬良さん」  と、声をかけた。  大瀬良さんは、はっと顔を上げる。 「あら。あなたが、もしかして……?」 「スズキです」  女性があいさつをした。  支店内の全員が、さっと顔を上げた。……この女が詐欺師か!?  さらに大瀬良さんの横にいる板橋も、チラッとスズキに目を向けて――  板橋とスズキの目が合った。     
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