1-④ 百万円足りない!

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 大瀬良のおばあちゃんでは、雨漏りの修繕費用を借りられたとしても、返済できるのか、という疑問。担保の土地に価値があるのか、という疑問。  だが、それでも吟子は代理に話した。  大瀬良さんを助けたいから。 「あのおばあちゃんが、これから死ぬまでの間、雨漏りの家で過ごすなんて可哀想すぎます。……なんとかしてあげられませんか!?」 「五十嵐さん。銀行は営利企業なんだ。浪花節でやっているわけじゃない」 「それは……そうですが……」 「それに、ここで無理な融資をしたらどうなる? 大瀬良さんは昔気質の人だろう。借りたお金は返さねばならん! と張り切って、働いて、その結果、倒れでもしたらどうするんだ? それこそ可哀想だろう」 「ですが、代理――」 「五十嵐さん、あまり無茶を言って、代理を困らせるな」  そのとき秋山支店長が、話に入ってきた。  どうやら、吟子と代理の会話を聞いていたらしい。 「支店長。……なんとか融資できませんか?」 「聞いている限りは難しいな。土地の価値をよほど甘めに考えても、五十万円、出せるかどうか」 (百万円も足りない!) 「甘めに考えた場合でこれだからな。普通に考えたら、まず無理だ」 「…………」  吟子は押し黙った。  支店長まで出てこられては、もうこの案件はこれ以上、動きようがない。     
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