我々の未来に

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 さて弱腰なこちらの国の首相は大統領の言うことに逆らえない。 「もうプルサーマルなんぞ要らん。プルトニウム全部もらってやる。今から始まるレンタル核に使わせてもらおう」  首相は渋っていたがレンタル核は平和の為だと言われて原発を諦めた。  大統領は更に未来の話を続ける。首相は面食らった。 「お前らは輸出国だから通貨安にしようと国債刷りまくる。あのやり方は古い。これからは民債や」 「民債? 何ですか? それは?」 「ベーシックインカムを導入。ただしタダであげるわけじゃない。無審査無担保無期限無催促低利子で月々充分生活出来るくらいを上限に貸付とする。生活保護も医療保険も失業保険も年金もやめて社会保障は全部貸付で対応。そしてその資金集めで発行されるのが民債や」 「うちの国民がそんなものを買うでしょうか」 「これまでに納めた年金や保険料はすべて民債を購入していたものとして扱う。預貯金には容赦なく税金をかける。医療特別民債とか就学民債とか住宅民債とか特典が違う様々なタイプを用意して保険会社や銀行に売り捌いて貰う。未来のシステムは儲かるで」  こちらの首相も大統領の提案に乗っかった。  大統領はこのようにして外遊先で未来の話をしては交渉を次々にまとめていった。  彼だけは知っている。勿論、未来からのタイムトラベラーなど居ないのだ。
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