プロローグ

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プロローグ

「神様」がいたというその駅は、北海道の南の方、市街地からも観光地からも離れた、トンネルに挟まれた場所にあります。  駅自体はホームと小さな駅舎しかない質素なもので、列車は一日6本が止まるだけ。列車以外にこの駅にたどり着く方法は事実上存在せず、釣り人と、面白がってやって来る大きなお友達以外は使わない、小さな駅です。  けれど、そこには確かに、神様がいました。これは私が神様と、ほんのいっときだけ一緒に暮らした、少し前のお話です。  申し遅れました。私、この話の狂言回しをさせていただきます、黒河みやびと申します。歳は秘密です。では、しばしのお付き合いを。
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