励ましが心に届かない

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励ましが心に届かない

 彼氏に捨てられた話を聞いて、何人かの友達が励ましに来てくれました。その言葉を聞くたびに「大丈夫」と返事をしていましたが、心の中は冬の冷たい風が吹き抜けています。  なぜなら、励ましてくれる人も多くは彼氏持ちか、何らかの幸せ、私の持って無いものを持ってる……。  そう思ってしまうと、心に響かなかったのです。  それでも心配してくれた友達のために、形だけは取り繕おうと、私は得意のモノマネ、と言っても素人芸ですが、一見気が強そうに見えるけど押しに弱い、神岡教授の真似なんかを披露して、元気ですアピールをしました。  それでその場が盛り上がり、特徴をよくつかんでるね、メンタル強いねって言われました。  話が一段落して、彼女たちを必死の笑顔を作って見送ると、そこには全然強くもない私がいて。彼の居ない寂寥感(せきりょうかん)だけが、心を支配していました。  私がして欲しいことは、励ましとは違うもの……、その時は漠然(ばくぜん)とですが、そう感じていました。  今振り返ると、友達に申し訳無いことをしたと思っています。
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