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函館山の夜景と自分の姿
北海道には着いたものの、行くあても無く来てしまったのでプランなんてありません。
とりあえず……、有名な夜景を見に行くことにしました。
函館山ロープウェイに乗って、展望台から見る『百万ドルの夜景』を見るのは初めてで、とても感動する……、はずでしたが、なぜだか感動はありませんでした。
有名な観光地と言うこともあり、周りにはたくさんの人たちがいました。
カップルも居ればグループで来ている人たちも居て、みんな幸せそうに見えます。
比較するべきものでは無いと、自分に言い聞かせるのですが、それをすればするほど、どんどん不幸になってしまうように感じられました。
帰りのロープウェイからの景色はよく覚えていませんが、人々の中に、少し寂しげな40代ぐらいの女性を見つけました。彼女も何かあったのでしょうか……。しかし、声をかける気にはなれませんでした。
たまたま空いていた温泉宿に泊まり、スマホをみると例の神岡教授からメールが届いていました。
「失恋は辛いと思うけど、生きていればいいこともあるさ。来年度もしっかりついて来いよ」
誰が教授に話したんだか……。彼は、何かと気にかけてくれて当時も嫌いじゃなかったんですが、こういうときはなんかなぁ……。
「大丈夫ですよ」と、当たり障りの無いメールを返したものの、私はさらに落ち込んでしまいました。
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