Blue Moon

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「塗られていない塗り絵」…確かに白と黒だけだ。 「白黒写真」確かに色がない。 それと「私の持っている色彩」とは何の関係があるのだろうか? そう思っていると、バーテンダーはシェーカーを片手に取った。 『さて…貴女の「色彩」を探しましょうか。』 そう言うと氷を入れ、何種類かの液体を入れる。 シェーカーの蓋を閉めると、シェーカーを振り出した。 小刻みなRhythmが心地良く聞こえる。 カクテルグラスに、シェーカーから液体が注がれた。 薄紫色のCocktailだ。最後にレモンピールを絞って、あたしの前に コースターを出し、カクテルグラスを差し出した。 『お待たせいたしました。「Blue Moon」です』 ちょっと待って…あたしは確かに花園神社から「Blue Moon」を飲みたくて ゴールデン街を彷徨っていた。でも、このバーテンダーには何も言っていない… 「あ、あの…どうして「Blue Moon」をあたしに?」 『今の貴女は、何か思い詰めていらっしゃいます。 しかもそれは「出来ない相談事」なのではありませんか? ですから、貴女に必要なのはこの「Blue Moon」なのです』 すべて見透かされている…どうして?何でわかるの? 困惑しているあたしに、バーテンダーは言葉を続けた。 『今の貴女には、どうしても「叶わない願い」がある。 それを抱えたまま他の事をしても上手く行く事はありません。 でも「叶わない願い」を誰かに相談する事すら出来ない。 それがどんなに仲の良い親族であっても… だから貴女は1ヶ月に2回目の満月「Blue Moon」に願いを託したいのでしょう? それが「Monochromeの迷宮に入り込んでしまって、 自分の色彩を失った貴女」なのです』
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