Blue Moon

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目の前に出された「Blue Moon」 「叶わぬ願い」や「出来ない相談」…このCocktailの意味だ。 あたしの今の状況を、このCocktailが打破してくれるのだろうか? そう思いつつ、グラスを持とうとすると… 『少し待ってください。 このCocktailを上から見ると「月」が見えますよ?』 Cocktailに月?どう言う事だろう… そう思いながらそっとグラスを上から見ると、中に照明が映る。 そう、それはまるで「月」の様だった。 「あ…本当だ。「月」、見えますね。」 『でしょ?ではどうぞ。お飲みください』 Winkをしながら微笑むバーテンダーの言葉通り、 あたしはグラスを手に取って、ゆっくりと薄紫のCocktailを口に含んだ。 ジンの香りにバイオレットリキュールの香り、 そしてレモンジュースのさっぱりとした口当たり。 こんなに美味しいCocktailを飲んだのは久しぶりだ。 半分位飲んだ所で手を止め、 目を閉じると、Cobalt Blueの空に浮かぶ銀色の満月が見えた。 「美味しい…」 『気に行っていただけて光栄です。 ところで…Cobalt Blueの空に浮かんだ銀色の月に、願い事は出来ましたか?』 願い事?そう言えば何もしてない。 って言うか、どうしてあたしが見た月を知っているのだろうか? 「いえ…まだ何も。でも、どうしてあたしが今見た月を知ってるんですか?」 『私には、貴女の「色彩」が見えますから…まだCocktailは残っています。 残りのCocktailで見えた月に願い事をしてみてはいかがですか?』 その言葉に頷くと、あたしは残りのCocktailを口に含んで、目を閉じる。 銀色の月は、まだその場にあった。 どんなに叶わない願いでも良い。今願う事は全部お願いしないと… 願い事を思い浮かべると、銀色の月が薄紫に染まった気がした。
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