1日目 朝

1/3
前へ
/3ページ
次へ

1日目 朝

 「よぉ、そこのお前さん。浮かない顔してるけどなんか不満でもあんのか?いや、言わないでもわかる、どうせ仕事に行きなくない、ってとこだろ?どうだ、図星か?お前さんみたいのは大体そう思ってるんだ、そう不満がるなよ、どうせ後1年で終わることなんだ。」  「なんだそんな顔して、絵に描いた様な仏頂面じゃないか。あ、俺?俺は死神だよ。丁度1年後に死ぬって人間に見えるようになるんだ」  季節の変わり目、夏から秋にかけて涼しくなりだしているころ、寝起きで見たのは自称死神の顔。  これもまだ夢の中なのか、それとも寝ぼけているだけなのか分からないけど、どうにも想像してた死神と違う。 「いや、死神ったって色々いるんだよ。俺みたいにペラペラ喋るようなやつから、いざお披露目ってなっても相手の前に出すらしないで、様子を見てるだけって奴までな」  声に出してないのに律儀に答えてくれるのはありがたいけど、余計に現実感がなくなるな。これは多分、まだ夢の中なんだろう。     
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加