1日目 朝

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「いやいや、まぎれもない現実だから寝なおそうとか思わないほうがいいぞ?これから二度寝したら、まず間違いなくお前さんは寝坊するよ。だから大人しく現実を受け入れて、仕事に行く準備をするのがお前さんのやることだ」  言われて時計を見ると、たしかに寝なおす時間はない。けどこれが現実だってことを考えるくらいなら、寝坊したほうがよっぽど現実味がある。  そもそも、一人暮らしの俺の部屋に他人がいるのもおかしい話じゃないか。これが現実だって言うなら、先ずは警察に通報するべきじゃないか! 「目は覚めてきたようで何よりだが、警察に連絡するのは止めたほうがいいぞ?どうせお前さん以外には俺の姿は見えてないんだ」  俺にしか見えてない?こんな普通の見た目のやつに言われても冗談としか思えない。 「冗談だと思うだろ?ところがこれが本当なのさ。なんなら試してみるといい、どうせこれから外に出るんだろ?お前さんの隣に居てやるから周りの人たちの反応見て確認してみればいい」  周りの反応みろって、そんな簡単に分かるもんでもないだろ。  なにしろ、こいつの見た目は人間と一緒で、これといった特徴もない。こんなのと並んで歩いてても、ただの友人としか思われないから、周りの目がこっちに向くわけでもないだろ。 「そうそう、なら別に通報する必要もないだろ?俺とお前は1年限りの友人だよ。うん、それも悪くないな」     
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