1人が本棚に入れています
本棚に追加
レイリ
庭園で出会ったあの日あの夜、それよりもっと以前から、レイリは彼女に恋していた。
多分おそらく、ずっとずっと前から。
それとは少しも気づかぬままに。
最初は錯覚のようなものだった。
レイリは長いこと主の家令を勤めていたが、単なる家令の役を越えて、いつの間にか主の全てを補佐する日々を送っていた。
レイリの主は天才造人技師、ヴィルトオーソ。レイリ達、全ての擬人の創造主。
彼は堅物で変人な天才。
聖霊の魂からの加護を受け、誰からも一目置かれる、特別な存在。
主は人でありながら人に交わらず、身の回りのことは全て擬人任せにし、ひたすら聖霊の魂に与える肉体造りに没頭する、奇人としか言いようのない人物。
ために、レイリはいつも主に振り回されてばかり。彼の起こす奇行の後始末に追われ、その奇抜な振る舞いの肩代わりをする羽目ばかり負わされていた。
最初のコメントを投稿しよう!