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主は常に空に向かって話しかけ、人にも擬人にも決して見せない笑顔を宙にのみ振り撒く。
それは神の御使いとされる聖霊の魂との対話であり、選ばれた身である主にしか出来ない、特別な行為。
けれどそんな特殊な光景も、日常の風景として当たり前の出来事と受け止めてきたレイリにとっては、なんて事ないただの、いち行為でしかなかった。
はずであった。
レイリ自身は主と違い、聖霊の魂に選ばれし身ではなかったため、その姿を見ることも声を聞くこともなかったのだが、何故だか一度だけ、光る珠が主のそばを漂うのを目撃したことがあった。
それは見ているだけで気持ちが満たされてくる、不思議な光球。優しくやわらかく輝き、時に強い光を放って瞬き、主が何かを話しかけると、光球はまるで微笑むかのように小刻みに震えて小さくリン、という澄んだ音色を奏でた。
……ような気がした。
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