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そして閃くように気づいてしまう。
レイリ自身がどうかなど、問題ではなかったということを。聖霊の魂を持つ彼女は、人にとっても擬人にとっても特別な存在であり、紛うことなき主の半身なのだいうことを……
つまり自分と彼女は、違う世界の住人なのだ。だから共にあることなど出来ようはずも、ない。
それを理解してからのレイリは、ひたすら自らの心を想いを押し潰し、毎日を過ごすしかなかった。
けれどレイリはあの日あの夜、彼女と出会い、触れ合ってしまう。
止めどなく膨らむ想いと、ますます育まれゆく心。
結局、彼女を諦めることなど出来るはずもなかったのだ。
それからの日々の、なんと甘やかで苦いものであったか……天にも昇るような幸福と、地に捩じ伏せられるかのような苦悶とを双方、味わい尽くしたといっても過言ではない。
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