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第1章 2-保健室の意味
[視点:養護教諭]
……たまに、保健室に遊びに来る子がいる。
もちろんそれは色んな生徒にあり得ることなんだけど、その中で少し私が気にかけている子がまた、保健室に来た。
*
「いやー、サッカーしてたらついつい熱くなってさー」
そう笑いながら擦りむいて少し血が出ている腕を見せてきたのは二年B組の仙崎くん。
チャラチャラしてるような外見の男の子だけど純粋で優しい一面を持ってる。少なくとも私にはそう見えるし、実際そうなのだろう。
「まぁ外で遊ぶのはいいことだよね。はい、ちょっと沁みるよー」
私がその腕を掴んで消毒液を取り出した瞬間に仙崎くんの顔が強張り……すぐさま腕をひっこめた。
「うあぁぁちょっとタンマ! なんで白石ちゃんはそうやって早々と消毒液取り出すのさ!」
(『白石ちゃん』とはこの子が私を呼ぶときに使う名前だ。白石 美和が本名だから)
「なんでって、そんな傷ほっといたら良くないからでしょ。それに別に私じゃなくても保健室の先生はみんな……こう、しますッ」
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