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聞き返す私に、今度ははっきりとした声で並川くんがこう言った。
さつきちゃんにはもちろん、一人近くに残っていたクラスメイトにも、きっと聞こえている。
私は顔が真っ赤なりんごみたいになるのを感じた。
こんなに顔が赤くなってしまうのは、私が並川くんを好きになってしまったからなのでしょうか……?
戸惑う私を前に並川くんは、返事は?と聞いた。
「はい……」
私は緊張と恥ずかしさと嬉しさで顔を真っ赤にしながら、俯いて返事をした。
「分かった?これから優ちゃんを泣かせていいのは、俺だけだよ」
もちろん嬉し泣きで。と付け加えて、並川くんは初めて笑った。
「なんだそれ?」と、私もつられて笑う。
午後の教室に差し込む柔らかな春の日差しが、いつまでも二人を包んでいた。
窓の外では満開のさくらが、咲き誇っている。
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