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私は意気地無し。 名前は後から知ったけど、あの時にちゃんと聞かなかったから、学校ですれ違っても名前を呼び掛けることも出来ない。 キミの事を目で追って、そんな事をしているのは私だけじゃないことに気づくと、また怖じ気づく。 せめてクラスが一緒になれば、せめてバスでたまたま隣り合わせになれば、話すきっかけが掴めるかもなんて、淡い期待は肩透かしのまま、無慈悲に時が過ぎていく。 まともに話すことなどないままに、とうとう三年生の夏が終わり、部活を引退したキミはバスを待つ45分間を図書館で勉強するようになった。 私はいつも六人掛けのテーブルの通路端。 キミはいつも斜め向かいの窓側の端。 私が勇気を出して近寄れた距離。 まだまだ遠くて話すことも出来ないけど。 キミを密かに盗み見ると、近くてドキドキする。 キミの隣、その隣、そして通路をまわってやっと私。 意気地無しの私の最大限引き出した勇気は、キミの睫毛がやっと見える距離だった。
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