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毎日毎日、決まった席で勉強を45分。
意気地無しの私の至福の時間。
オレンジ色の時間は短くなり、最近は明かりが灯って味気ない。
冬になり、年が暮れようとしていた。
もうすぐ冬休み。
いつものように、45分間勉強をしたキミが立ち上がる。
私もそれに釣られるようにポーチ型の筆箱にシャープペンシルを片付け始めた。
キミは私の横を通りすぎると思っていた。
しかし、私の視界にキミの桜貝色の爪が現れて、私は顔をあげた。
「いつになったら、隣に座んだ向井理緒」
「え……」
「チラチラ見てるなら、堂々と隣に座れよ、ばーか」
私は自分でも真っ赤になったのがわかるほど顔が熱くなった。
そんな私を見てキミが小さく笑う。
「意気地無しだな。ほら、バス来るぞ」
私は固まる。
フリーズした機械のように動けないまま。
そんな私を滅多に笑わないキミはまた表情を崩して、転がっていた水色の消ゴムを私の手にしている筆入れに押し込んだ。
「明日から隣に座れよ」
キミはそう言うと、歩き出そうとした。
だから、私は渾身の勇気を振り絞ってキミのリュックを掴んだ。
「一緒に! 一緒に……帰りたい」
キミは可笑しそうに微笑んで「何ヵ月かかってんだよ」と、言った。
それからは私はキミの隣が定位置になった。
好きですと言ったのは年が明けてから。
キミは「今さら」とまた笑って、キスをした。
夕焼けがキミを照らす、オレンジ色。
終わり
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