第1話 はじまり。

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第1話 はじまり。

 人は死ぬと魂の源に帰り  グラスになみなみと注がれた母なる水面に  その命を溶かすのだという。  そこは美しき魂のふるさと。  ひとしずくがぽたりと落ち  あふれたひとしずくがまた人となり  この世に生まれ出る。  何千年も何億年もくり返される  命の輪の営み。  数えきれないグラスから人が生まれ  生きた人生の色に染まり  またそこへ帰っていく。  それは、すべてのグラスが透明に輝くまで  永遠に続けられるのだ。  しかしまれに、逃げられないはずのこの輪廻の輪から  はみ出す者たちがいた。  それを人は、『悪霊』と呼ぶのである。
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