158人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あのね。やっぱりどーしても、明日から学校に行きたいの。ほら、もうすぐ学園祭だから、出し物を決めたりなんかもするし。あたし、すごく楽しみにしてるの。何とか、明日から登校出来ないかな? ちゃんと気をつけるし、無理しないから……」
お母さんはふう、と息をつき、天をあおいだ。
「もう、つむぎ、その話は何度もしたでしょう。あなたが打ったのは、頭なのよ。覚えていないかも知れないけど、目覚めてすぐあなた、鬼が見えるって錯乱したんだから。すぐに日常生活に戻るのは、お母さんは反対よ。せめて1週間は、家でゆっくりしなさい」
すでに何度もくり返されたお母さんの苦言だったけれど、あたしは今回は引き下がらなかった。と言うか、引き下がれない……。
お母さんの横で、あたしを見ている『鬼』がいたから。
「う、うん。分かるよ。お母さんが何でそう言うか、分かる。でもね、あたしの話も聞いてほしいの。絶対に無理しないから。どうしても学校に行きたいの。お願い。……いいでしょう?」
あきらめの悪いあたしに、お母さんは肩をすくめる。
最初のコメントを投稿しよう!