第2話 あたし、一回死ぬ。

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「おおお、マッシュルーム! さすがつむぎ、名前が店名になってるだけあって、お父さんよりこの店に詳しいなっ。ついでにクルトンも見当たらないんだ! なんとか見つけてシーザーサラダを作ってくれ!」 「……う、ウソでしょ!」  クルトンがなくてどうやってシーザーサラダを作れってゆーのよ!  食材庫の前であわあわと右往左往している湯山さんを押しのけ、あたしはとりあえずクルトン探しから取り掛かった。  あーあ、やっぱりこうなるのよねぇ。  今夜も大盛況のお店の厨房で、お父さんの指示のもと立ち働きながら、あたしは少し笑ってしまった。  なんだかんだ言って、お店って、楽しいんだもん。  こうして店舗を構え、来てくださるお客さまに満足して頂いて、お金を頂く。  このシステムを、どうやらあたし、かなり気に入ってるみたい。  だから文句を言いつつも、こうやって厨房に立って、あれこれと頑張ってしまうんだよねぇ……。
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