第3話 赤い着物の少女。

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 いきなり目に飛び込んでくる蛍光灯の明るさに、するどく頭が痛んだ。  何か、真っ暗い場所にいる夢を、見ていたような気がする。  うん、夢……。そうかあたし、寝てたんだ。……って、ここは……?  見覚えのない天井に、頭が一瞬パニックになる。勢いよく起き上がろうとすると、身体につけられた様々な管があたしを引っ張った。仕方なく枕に頭を戻す。 「つっ、つむぎっ! あなた、つむぎがっ……!」  すぐそばでお母さんの声がした。   見ればノーメイクのお母さんが、涙ながらにあたしの手を強くつかんでいる。その力はおそらくかなり強かったはずなのに、しびれ切った身体はこれっぽっちも痛みを感じなかった。 「つむぎ! 目が覚めたのかっ? つむぎっ、申し訳なかった! つむぎ、よかった、つむぎっ……!」  お母さんのとなりで、吠えるように泣いているのはお父さんだ。2人のあまりの号泣ぶりに、あたしはあっけにとられるしかなかった。  一見した感じ、ここは病院なのだろう。見回すと、あたしは真っ白い壁に囲まれ、たくさんの機械につながれてベッドに寝かされていた。こういう状況、ドラマで見たことがある。 「……お、父さん、お母さん。……あたし、何が……?」    
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