158人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話 はじまり。
人は死ぬと魂の源に帰り
グラスになみなみと注がれた母なる水面に
その命を溶かすのだという。
そこは美しき魂のふるさと。
ひとしずくがぽたりと落ち
あふれたひとしずくがまた人となり
この世に生まれ出る。
何千年も何億年もくり返される
命の輪の営み。
数えきれないグラスから人が生まれ
生きた人生の色に染まり
またそこへ帰っていく。
それは、すべてのグラスが透明に輝くまで
永遠に続けられるのだ。
しかしまれに、逃げられないはずのこの輪廻の輪から
はみ出す者たちがいた。
それを人は、『悪霊』と呼ぶのである。
最初のコメントを投稿しよう!