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時計におねがい
けたけた笑いながら、私は休み時間にゆみこちゃんといた。
話しをしている間、ゆみこちゃんの顔を見てるけど、時々その向こう側を気にかけていた。
喜久田くん!
少し色黒で背が高くて、笑うと白い歯がみえる。喜久田くんも友だちと談笑している最中だった。
いつも気がつくと私の目は喜久田くんの姿を追っている。
はにかんだ笑い顔。言葉少ないけれど、ちゃんと的を得た話しをしてみんなに好かれている男の子。
最初に意識したのは小学校5年の夏。プール開きで水に浸かっていた私たち。
「喜久田くん、喜久田くん。水がとってもきれいだったよ!」
と私が言うと、喜久田くんは、
「きれいなのは、あんたの目だよ」
と言って、行ってしまった。
それは聞き違い?でもほんとに、そう言ったの?
私は胸がドキドキした。
色紙を机の引き出しに入れていて、好きな色を一枚取り出す。
「算数のテスト100点だったね!すごいね!」
白い側に鉛筆でそう書いて鶴を折って、席を立つ。さりげなく近づいて喜久田くんにそれを渡す。
喜久田くんが鶴を開いて中に書いてある言葉を読むと、こっちを向いて笑った。
私も微笑む。とても楽しい。
でも良いことばかりじゃない。
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