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「真宮が隠しごとかぁ...。なんか俺には全部言ってそうだけどなぁ」
「そんなことないって!絶対隠してるね」
そう言われて少しムッとした俺は、
「いーや、隠してないよ。なんでも言ってくれてる」
「ふーん?それならさ」
友達が顔を近づけて囁いた。
「真宮がほんとになにも隠してないか、一回追及してみろよ」
「は?」
「カマかけてみるんだよ!お前、なんか隠してるだろって。面白そうじゃん!」
「なんでそんなこと俺がするんだよ...。彼氏でもあるまいし」
「彼氏かぁ...。そーいえば、真宮ちゃんって彼氏いないのか?」
「...聞いたことないな」
彼氏。真宮の口からその単語が出てきたことはなかったから勝手にいないものだと思っていたが、もしかして俺に気を使っていただけでいるのかもしれない。あんなにかわいいのに浮いた話は耳にしたことがない。
そう考えていたら、なんだか急にいてもたってもいられなくなってきた。別に真宮にとっては言わなくてもいいことかもしれないけれど、俺は何となく真宮がもし彼氏がいることを隠しているのだとしたら面白くないなと思ったからだ。
「...わかった。今日真宮に聞いてみる」
「お、そうか?なんか聞けるといいな」
友達は笑っていたけれど、俺は笑えなかった。なんでこんなにもむきになっているんだかわかんないけど、そんなことどーでもいい。
「あ!佐藤先輩!お待たせしました!」
真宮が来た。
「先輩、どうしたんですか?」
「え?」
「なんか今日は顔が怖い気がします」
真宮が少し不安そうに聞いてきた。
友達は真宮が来たのに気付くとすぐに帰った。
「うまく聞けよ?」
なんて笑いながら言い残して。
俺と真宮はファストフード店で飲み物を買って、今は公園にいる。いつもならここで他愛もない会話をするのだが、今日はいかにして真宮から話を聞き出すか考えていたせいで真宮の話に対する返事も疎かになっていたみたいだ。
「悪い、いろいろ考え事しててさ」
俺が少し微笑むと、真宮は安心したように話を続けた。気づくと周りは人気もなくなり暗くなっていた。
「そろそろ、帰りますか?」
そう俺に聞きながら立とうとする真宮の腕を掴んだ。一瞬、真宮は怯んだみたいだが不思議そうに俺を見つめてきた。
「どうか...」
「真宮、なんか俺に隠してることって....ある?」
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